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分社化と連結納税制度の節税メリットとデメリットのまとめ

会社を新しく作って事業の一部を移せば、利益を分けることで法人税や消費税の負担を減らすことができます。一方、親会社と100%子会社の関係であれば、それぞれの損益を通算することができるため、一方が黒字でもう一方が赤字の場合はやはり節税することが可能です。

前者は分社化による節税メリット、後者は連結納税制度による節税メリットです。今回はそれぞれのメリットとデメリットをまとめました。

分社化による節税と連結納税制度による節税の違い

両者には退職金の支給回数を増やせたり、経費の枠を増やせるなどの共通の節税メリットもありますが、大きく異なる点もあります。

それは、二つまたは複数の会社の間で損益を通算して税金の計算を行うかどうかです。

損益を通算する連結納税制度は、親会社と100%子会社の関係でなければ利用することができません。

また、連結納税制度の適用を申請して承認された場合、必ず親会社と子会社の損益を通算しなければいけません。損益通算しない方が税金の負担が軽くなる場合でも、自動的に連結して税金が計算されます。

一方、連結納税制度を申請しない親会社と子会社や、元の会社と分社化した新しい会社の間では、それぞれ独立して税金の計算を行います。分社化によって利益を分散させることによる節税メリットとは、通常はこのケースのことです。

この大きな違いを踏まえた上で、それぞれの節税メリットとデメリットをまとめると次のようになります。

分社化による節税メリットとデメリット

① 利益を二社または複数社に分散させることで法人税の軽減税率の適用範囲が増える
② 利益を二社または複数社に分散させることで消費税の免税事業者になりやすくなる

いずれも、元の会社から分社化してつくった新しい会社に利益を分けることで得られるメリットです。法人税の軽減税率は800万円までの課税所得に適用されます。二社なら1600万円、三社なら2400万円と軽減税率の適用範囲が増えます。

また、2期前の課税売上高が1000万円以下の場合は、消費税の免税事業者となることができます。分社化して複数の会社に売上を分散させれば、免税事業者になりやすくなります。

逆に、分社化による節税上のデメリットとしては、以下が重要です。

① 会社間の黒字と赤字を通算できないため、場合によっては税金の支払額が増える

一つの会社で黒字の事業と赤字の事業を抱えている場合には、赤字を黒字にぶつけることで課税所得を低く抑えることができます。しかし、分社化して元の会社が黒字の事業、新しい会社が赤字の事業を持った場合には、それぞれの損益を通算できないため、税金が高くなる傾向にあります。

連結納税制度による節税メリットとデメリット

① それぞれの会社の黒字と赤字を損益通算できるため、一方が黒字でもう一方が赤字の場合には税金の負担が軽くなる

連結納税制度の節税メリットはちょうど分社化による節税メリットと正反対です。

片方の会社が黒字でもう片方の会社が赤字の場合、連結することで課税所得を抑えられるため、法人税の負担が軽くなります。

他にも、子会社から親会社への配当金が益金不算入となるなどのメリットもあります。

逆にこのメリットは、両方の会社とも黒字の場合にはデメリットに転じてしまいます。両方の会社が黒字の場合、損益通算しない方がそれぞれの課税所得は低くなるからです。

親会社と子会社の両方が安定して利益を出し続けている場合には、連結納税制度のメリットは少ないと言えるでしょう。

また、連結納税制度は一度適用されてしまうと、よほどの理由がない限り利用をやめることができません。そのため適用の申請は慎重に行う必要があります。この点も大きなデメリットとなる可能性があります。

まとめると、連結納税制度の節税上の大きなデメリットは以下の二つです。

①親会社と子会社の両方とも黒字の場合は却って税金の支払いが増える傾向にある
②一度連結納税制度を利用してしまうと、よほどのことがない限り利用をやめられない

連結納税制度を利用するか、個別に決算を行うかは慎重に判断を

以上、分社化したときに個別に決算を行うか、それとも連結納税制度を利用して損益を連結して決算を行うか、それぞれのメリットとデメリットをまとめました。

いずれも一長一短があり、どちらかが節税上優れているというわけではありません。あくまで、二社または複数の会社の損益の状況によって決まります。

そのため、親会社と子会社、あるいは元の会社と新しい会社の損益の予測を行った上で、どちらを選択するか慎重に検討する必要があります。特に、連結納税制度は一度利用してしまうと変更が難しいため、なおさらです。