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法人で株式取引を行うことの税制上のデメリット

経営者が株式取引を行う場合、個人で行うか、会社で行うかの二つの選択肢があります。

主に税金に関して、個人と会社ではそれぞれメリットとデメリットがあります。この辺りは、株式取引でどの程度利益を上げるのか、また本業の収入がどの程度あるのかによって異なるため、各々の状況によって使い分けることが大切です。

今回は法人で株式取引を行った際にデメリットとなってしまう可能性があることについて解説します。

法人で株式取引を行った場合の税制上のデメリット

1. 税金の支払いが個人よりも大きくなってしまうリスク

個人の場合、株式取引で得た利益は株式譲渡益として税率20%が適用されます。また、分離課税のため、給与所得や事業所得など他の所得がどれほど大きかろうと、影響を受けることはありません。

一方、法人の場合は、株式取引で得た利益も、本業で得た収入など他の収入と合算されます。

すべての所得と損失が損益通算できることは、株式取引が赤字で他の事業や投資が大きな黒字となっている場合、あるいは逆に株式取引が大きな黒字で他の事業や投資が赤字の場合には節税メリットとなります。

黒字を赤字で相殺できるからです。

しかし、株式取引と他の事業などの両方で大きな黒字となった場合は、すべての所得が合算されるので課税所得が大きくなってしまいます。

また、法人税率も最高で37%程度と個人の株式譲渡益にかかる20%よりも高くなっています。

株式譲渡益が大きい場合、あるいは他の事業の所得が大きく、合算した課税所得が大きくなる場合には、法人の方が税負担が大きくなってしまいます。

※なお、仮想通貨取引で得た利益に関しては、個人の場合には雑所得になるため最高税率は55%です。そのため、仮想通貨に関しては株とは異なり、法人の方が税制上のメリットは大きいと言えるでしょう。

2. 法人が得た利益を個人に移す時に税金を考慮する必要がある

法人として得た株式譲渡益は当然、会社の利益となります。したがって、そのまま経営者個人のお金にすることはできません。

会社の利益を経営者個人に移すためには、役員給与や役員賞与の形で支給することになりますが、これらがあまりに高額になりすぎると今度は経営者個人の税負担が大きくなります。

特に、給料や賞与による所得には所得税と市民税が課せられ、最高税率は55%になります。一方、すでに書いたとおり、個人であれば株式譲渡益の税率は20%で済み、しかも他の所得とは分離で課税されます。

従って、法人として株式取引を行い大きな利益を上げた場合、その利益をそのまま経営者に給料や賞与として支払ってしまうと、経営者個人の税負担が増えてしまい手元に残るお金が少なくなってしまいます。

経営者個人で株式取引を行っていた方が税負担が軽かったということも十分にあり得ます。

また、役員給与や役員賞与の損金算入は事前に税務署に届け出が必要など、厳しい規定があります。株の取り引きで急に大きな利益が上がったからと言って、そのまま経営者の給与や賞与を増やした場合、そもそも法人の損金に算入できないこともあります。

ただし、家族を従業員として臨時賞与を支給するなど、利益を家族に移す手段はあります。また、法人の方がさまざまな節税策を利用できるので、決して大きな利益を出した場合には必ず法人の方が不利というわけではありません。

この辺りは、法人が得た利益全体(益金)、経営者やその家族への給料・賞与、節税によってどれだけ利益を圧縮できるか(損金をつくれるか)、などによります。

3. 法人の設立・維持費がかかる

これは株式取引で大きな利益を上げ、新たに資産運用会社を立ち上げた場合の話です。すでに設立している会社で株式取引を行う場合には問題となりません。

法人の設立には登記などのために20万円から24万円の費用がかかります。また、法人住民税は赤字でも年間最低7万円は発生しますし、会計を税理士に依頼する場合は税理士費用も発生します。

また、個人事業主が法人化した場合、国民健康保険・国民年金から社会保険への変更が必要となります。社会保険の方が将来的にもらえる年金額が多くなりますが、毎月の負担が大きいのも事実です。社会保険の負担も考慮に入れておく必要があります。

このように、新たに資産管理会社を設立した場合は、法人の設立・維持にかかるコストも考慮する必要があります。

以上、法人として株式取引を行ったときの主なデメリットを見てきました。資産管理会社として法人を設立する場合は、設立・維持のために新しい費用が発生する点が主なデメリットです。

すでに設立している法人を利用する場合は、株式譲渡益が大きくなった場合に、個人で株式取引を行うよりも税負担が大きくなるリスクがあります。しかし、この辺りは節税策による利益調整によってうまく回避できることも少なくありません。