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節税目的の分社化による発生し得るデメリット

会社を分社化して二つの会社にすれば、法人税や消費税に関してさまざまな節税メリットがあります。しかし、場合によっては分社化してしまったことで逆に支出が増えてしまうこともあります。

また、分社化による節税策の中には税務署によって税務否認されるリスクの高いものもあります。今回は分社化によって発生し得るデメリットについて解説します。

分社化によって起こり得る5つのデメリット

分社化を行うことで会社を二つにすれば、売上額や課税所得を減らすことができます。その結果、軽減税率の適用や消費税免除、退職金の複数回の支給や計上できる交際費の増額などの節税メリットを得られます。

また、二つの会社の決算期をずらせば、相互に仕事を発注するなどして会社間で利益調整を行うことも可能です。

一方、分社化による節税を行う場合には、次のようなデメリットが生じ得ることも理解しておいた方が良いでしょう。

1. 法人の設立・維持費用が増える
2. バックオフィスのコストが2倍となる
3. 決算などの経理処理が2倍になる
4. 却って税金の負担が増える場合がある
5. 不当な損益調整は税務否認の対象となる

1. 法人の設立・維持費用が増える

法人を設立する場合には登記などで費用が発生します。また、法人設立後も、税理士費用や法人住民税(赤字でも年間最低7万円は発生)などの一定のコストは必ず生じます。

法人を設立・維持するためには相応の経費が必要となりますが、そのコストで赤字となってしまうようであればそもそも分社化しない方が良いでしょう。安定して一定の利益を生み出す事業があることが分社化の大前提です。

2. バックオフィスのコストが2倍となる

総務や経理、人事などのバックオフィス業務は会社を経営するためには不可欠ですが、これらの業務は利益を生み出すわけではありません。しかし、バックオフィス業務のために一定の支出は必要となります。

分業化した場合は、当然バックオフィスのコストも増えることになります。このコストも新しい法人の維持にかかる費用として考慮しておく必要があります。

3. 決算などの経理処理が2倍になる

バックオフィスの話と重なりますが、分社化を行って二つ以上の法人を持った場合、当然決算などの経理処理も二倍になります。

費用も手間も二倍となりますので、そのコストは認識しておく必要があります。

4. 却って税金の負担が増える場合がある

分社化による節税メリットが大きいのは、二つ以上の主力事業があり、どの事業も利益を上げている場合です。

例えば、A社がCとDという事業でそれぞれ700万円の利益を上げていたとしましょう。合計で1400万円の課税所得となるため、そのうち600万円は軽減税率が適用されません。

軽減税率は、資本金1億円以下の中小企業で800万円以下の課税所得に対して適用されるからです。

そこでA社を分社化し、B社を新しく作ったとします。A社が事業C、B社が事業Dを手掛けることで700万円ずつの課税所得となり、それぞれに軽減税率が適用されます。これにより、A社一社で事業CとDの両方を手掛けていた場合よりも、法人税の支払い額が少なくなります。

以上は分社化による節税が上手くいくケースです。

しかし、場合によっては分社化がアダとなってしまうこともあります。

例えば、事業Cで700万円の利益、事業Dで300万円の赤字であったとしましょう。一社で事業CとDの両方を手掛けている場合、利益と赤字が相殺されて課税所得は400万円だけになります。

一方、分社化してA社が事業C、B社が事業Dを手掛けていた場合、A社は700万円の利益に対して課税、B社は赤字なので課税なしとなります。700万円に対して課税されることになるので、分社化した方が税金の支払いが多くなることになります。

分社化して節税メリットが大きくなるのは、それぞれの会社に利益が出ている事業を与えることができるケースです。一方の会社では黒字の事業、他方の会社では赤字の事業という場合には、一社で両方の事業を有してた方が損益通算できるので法人税の支払い額が少なくなるケースが多くなります。

なお、分社化した会社を子会社として連結納税制度を利用すれば、二つの会社の間で損益通算を行うことができます。

5. 不当な損益調整は税務否認の対象となる

二つの会社の決算時期をずらし、相互に仕事を発注するなどすれば損益調整を行うことができます。

しかし、実際に仕事を発注するなど、実態があることは当然求められます。

架空の仕事をつくり、帳簿の数字だけをいじるなどの不当な損益調整は税務否認の対象となります。

分社化した会社間の損益調整は何かにつけ税務調査の対象となりやすいので注意が必要です。リスクの高い不当な損益調整は行わない方が良いでしょう。